ヒンド・ラジャブの声 実話はどこまで?本物の通話記録と映画の描き方【9月4日公開】

ヒンド・ラジャブの声 実話はどこまで?本物の通話記録と映画の描き方 9月4日公開 コラム

📖 読了時間: 約10分

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📌 この記事でわかること

  • 2024年1月29日に起きた出来事と、映画が扱う時間帯の対応
  • 本物の通話記録がどう使われ、どこからが俳優の演技なのか
  • ヴェネチアとアカデミー賞で何が評価されたのか
  • 上映時間・レイティング表記・上映館から、誰とどこで観るかを決める材料
配給のアルバトロス・フィルムチャンネルが公開した特報映像

『ヒンド・ラジャブの声』の日本公開は2026年9月4日、上映時間は89分です。題材になったのは、2024年1月29日にガザで実際に起きた、ヒンド・ラジャブからの緊急通報でした。日本公式サイトは6歳と表記していますが、5歳とする報道もあります。実話ベースと聞くと、どこまでが記録で、どこからが俳優の芝居なのかが気になります。

配給の発表によると、電話シーンの音声には事件当日の本物の通話記録が使われています。つまり少女の声は記録で、それを受け取る人たちの映像は主に俳優が演じた再現です。ただし、終盤には当夜の赤新月社スタッフを撮影した実際の映像も挿入されます。この記事では、公表されている事件の流れと映画の扱いを一つの表に並べ、劇場で観るかどうかを決める材料までまとめました。

『ヒンド・ラジャブの声』とは|公開日・上映時間・監督とキャスト

日本公開日2026年9月4日(金)
上映時間89分
原題The Voice of Hind Rajab
製作国・言語チュニジア/フランス(2025年)・アラビア語
監督・脚本カウテール・ベン・ハニア
出演サジャ・キラニ、モタズ・マルヒース、アメル・フレヘル、クララ・フーリ
主な製作総指揮(日本向け宣伝で紹介)ブラッド・ピット、ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、アルフォンソ・キュアロン、ジョナサン・グレイザー、マイケル・ムーア、スパイク・リー
配給スターキャットアルバトロス・フィルム
レイティングG(映画.comの作品ページ表記/2026年8月時点)
出典:映画『ヒンド・ラジャブの声』公式サイト、映画.com作品ページ(2026年8月15日確認)

監督・脚本はカウテール・ベン・ハニアで、赤新月社のスタッフ役をサジャ・キラニ、モタズ・マルヒース、アメル・フレヘル、クララ・フーリの4人が演じます。画面に映るのは救助を求めた側ではなく、電話を受け続けた側の人たちです。この視点の置き方が、作品の性格を決めています。

日本向け宣伝で前面に出されている主な製作総指揮には、俳優や監督として自分の作品を持つ7人が並びました。予算規模を示す顔ぶれというより、作品を世界へ届ける後押しと受け取るほうが自然でしょう。実際に日本でも配給が決まり、9月から劇場で観られます。

実話の経緯|2024年1月29日に何が起きたのかを時系列で整理

報じられている出来事と、映画がその局面をどう扱うと発表されているかを並べました。右の列は2026年8月15日時点で公表されている範囲だけを書いています。

日付・局面報じられている出来事映画での扱い(公表されている範囲)
2024年1月29日ガザ市から避難しようとした一家の車が銃撃を受ける映像は赤新月社の拠点内に置かれ、車内の惨状は映さないと監督が説明
同日・通報車内の生存者からパレスチナ赤新月社へ緊急通報が入る電話を受けた赤新月社の側が物語の舞台
同日・通話中ヒンド・ラジャブが一人車内に残され、通話は約3時間続いたとされる電話シーンの音声に当日の本物の通話記録を使用
同日・救助赤新月社が救急車を現場へ向かわせる救出を試みるスタッフの動きとして描かれる
2024年2月3日赤新月社が通話の録音を公開するこの録音が映画の音声の元になっている
2024年2月10日車と遺体が見つかり、向かった救急隊員2人も死亡していたと伝えられる公開前時点で、劇中の扱いは未公表
出典:公式サイト、配給発表、ウィキペディア日本語版「ヒンド・ラジャブの声」(2026年8月15日確認)

右端の列に「未公表」が一つ残りました。事件の結末が判明したのは12日後ですが、映画は電話がつながっていた1月29日の救助活動に焦点を置き、救急車との連絡が途絶える局面まで描くことは監督インタビューで公表されています。89分という尺は、この待機と救助活動へ観客を置くための構成です。

なお、この出来事は国や媒体によって説明の細部が異なります。ここでは日本の配給・劇場が発表した内容と、公開されている記録で確認できた範囲に限りました。政治的な評価や因果の断定は、この記事では扱いません。

どこまでが実話でどこからが再現か|本物の通話記録の使われ方

結論から書くと、通話の音声は実際の記録で、それを聞く人たちの姿は主に俳優による再現です。少女の声を俳優が演じ直したわけではありません。一方、主たる映像は撮影された再現ですが、終盤には当夜の赤新月社スタッフの実際の映像も挿入されます。

監督は俳優たちに演技を止めさせ、録音に残る実際の声を聴かせる場面を撮っています。救急車との連絡が途絶えた後の場面では、登場人物が手にしたスマートフォンの画面に、当夜の実際の記録映像が映ると監督は説明しました。演技と記録を交互に置く作りが、この映画の骨格です。

再現という形をとった理由についても、監督は語っています。赤新月社のスタッフの中には、カメラの前で証言することに抵抗を感じる人がいたため、事実と虚構が混じり合う形式を選んだそうです(英メディアAnOther Magazineのインタビュー、2026年8月15日確認)。

ここから、「実話ベース」の受け取り方を3つに整理できます。

  • 少女の音声は記録、映像は主に再現で、一部に実際の記録映像が含まれます。ドキュメンタリーそのものではありません。
  • 視点は電話を受ける側に固定されています。現場の一部始終を追う構成ではありません。
  • どの場面にどれだけ実音声を使ったかの全容は、公開前の時点では公表されていません。

🎬 ワンポイント

予告や記事で「本物の音声」という言葉を見ても、映画のすべてが記録映像というわけではありません。記録と再現が交互に現れる作りだと知って観るほうが、演出への戸惑いは少なくなります。

ヴェネチア銀獅子賞とアカデミー賞ノミネート|評価が示すこの映画の位置づけ

第82回ヴェネチア国際映画祭では銀獅子賞(審査員大賞)を含む8冠を獲得し、第98回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされました。ヴェネチアでの上映後には23分間のスタンディングオベーションが起き、映画祭史上最長と報じられています。題材の重さだけで話題になった作品ではない、と判断できます。

カウテール・ベン・ハニア監督の『皮膚を売った男』は2021年11月12日に日本公開され、第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされました。国際長編映画賞に届いたのは今回で2度目になります。突然現れた監督ではありません。

手法の面でつながるのは、もう一本の日本公開作です。『Four Daughters フォー・ドーターズ』は2025年3月14日に日本公開されました。実在の家族の出来事を、本人と俳優が入り混じって再演するドキュメンタリーで、記録と演技を混ぜる作り方は今回と地続きです。記録映像をどう再構成するかに関心がある方は、この流れで見比べると理解しやすくなります。

観る前の判断材料|上映時間・内容の重さ・上映館の選び方

上映館は東京の単館系が中心で、地方へは順次広がります。2026年8月15日時点で確認できた劇場をまとめました。

劇場上映開始各劇場サイトの上映時間表記補足(2026年8月15日確認)
新宿武蔵野館(東京・新宿)9月4日(金)1時間29分オンライン予約への導線あり
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下(東京・渋谷)9月4日(金)89分一般2,000円、学生1,500円(平日1,200円)、シニア1,300円
シネスイッチ銀座(東京・銀座)9月4日(金)89分サイトからチケット購入ページへ遷移
KBCシネマ1・2(福岡市中央区)9月4日(金)89分九州で確認できた上映館
出典:各劇場公式サイト(2026年8月15日確認)。上映スケジュールは変更・拡大の可能性があります。

劇場選びの基準は二つに絞れます。上映後に一人で歩いて頭を整理したいなら、駅から少し離れた劇場のほうが向いています。誰かと感想を交わしたいなら、周辺に落ち着いて座れる場所がある劇場を選んでください。最新の回数と時間は必ず新宿武蔵野館の作品ページなど、各劇場の公式ページで確認しておくと安心です。

同行者を決めるときに迷うのが年齢制限でしょう。映画.comの作品ページでは、レイティングがGと表記されています(2026年8月時点)。ただしGは年齢制限がないという表示であって、内容が軽いという意味ではありません。公式サイトにレイティングの明記はないため、公開直前に劇場の表示も見ておいてください。

次の条件に当てはまるなら、初回は一人か、事情を共有している相手と観るほうが無理がありません。

  • 実際に亡くなった子どもの声を、記録のまま聞くことになります。
  • 救助が届かないまま時間が過ぎる構成で、途中で気持ちを切り替える場面は期待できません。
  • 小さな子ども連れの場合、年齢表記ではなく音声の内容で判断してください。

監督登壇の先行上映会と、公開前に確認できること

公開を待たずに観る機会もあります。8月18日には新宿武蔵野館で、カウテール・ベン・ハニア監督とプロデューサーのナディム・シェイクルーハが登壇する先行上映会が開かれます。チケットは8月11日正午から販売が始まりました(2026年8月15日確認)。

配信を待つという選択もありますが、2026年08月時点で、日本国内の配信予定は発表されていません。当面は劇場公開を前提に予定を立ててください。

いきなり本編は重いと感じるなら、予告で温度を測るところから始めてもかまいません。日本版予告のナレーションは、ミュージシャンの春ねむりが担当しました。記事の冒頭に置いた特報でも、作品の手触りはある程度つかめます。

配信サービスで見る

本作の配信予定は発表されていませんが、カウテール・ベン・ハニア監督の『皮膚を売った男』は配信中です。劇場へ行く前に監督の演出を知っておきたい人向けの1本です。

U-NEXTは31日間 無料お試しあり(期間終了後は月額2,189円・税込)

2026年8月時点の配信状況です。最新の配信状況は各サービスの公式サイトでご確認ください。

まとめ

  • 通話の音声は2024年1月29日の実際の記録で、赤新月社スタッフの姿は主に4人の俳優が再現し、一部に当夜の実際の映像も使われています。
  • 映画は電話がつながっていた1月29日の救助活動を中心に、救急車との連絡が途絶える局面と当夜の実際の記録映像も含みます。2月10日の発見をどう扱うかは公開前時点で公表されていません。
  • 89分・単館系中心の公開で、レイティングはG表記ながら内容は重く、同行者は表記ではなく音声の性質で決めるほうが安全です。

実話をなぞる映画ではなく、記録された声をそのまま客席へ置く映画です。そこまで分かったうえで席を取るなら、覚悟の置きどころを間違えずに済みます。

実話をもとにした映画をどう受け取るかという視点では、史実を題材にした作品の見方をまとめた記事もあわせてどうぞ。

よくある質問

原題はなんと表記されますか?

原題は The Voice of Hind Rajab です。製作はチュニジアとフランスの合作で、劇中の言語はアラビア語です。

配信で観られる予定はありますか?

2026年08月時点で、日本国内の配信予定は発表されていません。当面は劇場公開を前提に予定を立ててください。

カウテール・ベン・ハニア監督の過去作は日本で観られますか?

『皮膚を売った男』が2021年11月12日、『Four Daughters フォー・ドーターズ』が2025年3月14日に日本公開されています。現在の配信状況は発表を確認できていないため、各サービスの作品ページでご確認ください。

公開前に観られる機会はありますか?

8月18日に新宿武蔵野館で、カウテール・ベン・ハニア監督とプロデューサーのナディム・シェイクルーハが登壇する先行上映会が開かれます。チケットは8月11日正午から販売が始まりました。

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